映画『君の名は。』の大ヒットにより、
一躍 世に名が知れ渡った新海誠監督ですが、
以前から”実写よりも美しい”と言われる
リアルな風景描写で注目されていました。
彼の作品を見たことのない方のために、
どれくらいリアルに描かれているのかを
実際の風景とアニメ画像との比較をご覧いただきましょう。
比較している背景は2013年に公開された『言の葉の庭』のシーン。
上がアニメ画像で下が実際の風景写真です。
参照元:http://yusaani.com/topics/2016/03/09/280800/
こうして比較して見ると、
いかに緻密でリアルに描かれているかがわかりますよね~。
あまりのリアルさゆえに「実写と置き換え可能だ」
と言われることもあるそうですが、
新海監督曰く、それは不可能だという。
つまり、だだ単にリアルに描いているわけではないということです。
新海作品の風景描写を多くの人が美しいと感じるのは、
きっと実写では表現できない「何か」があるからです。
では、その「何か」とは一体何なのでしょうか?
2004年公開『雲のむこう、約束の場所』より
新海監督は風景描写に関して、
「現実より現実らしく感じられて、なおかつ美しく、
印象的でなければ絵で表現する意味がない」
というポリシーがあるそうです。
そして、実際はリアルに描いているように見えて、
実は思いきり主観的に抽象化して描いているのだという。
風景描写は1枚1枚、
色々なスタッフによって描かれていますが、
「自分はこの風景をこのように解釈して見ている」
というスタッフ個々の主観が投影されて描かれているのです。
風景を写真どおり忠実に描くだけならば
「技術」さえあれば可能でしょうが
そこに主観を反映して描くとなると
「感性」が必要になってきます。
見た人の心を動かすほどの風景描写が描ける
新海作品のスタッフたちは皆、
素晴らしい技術と感性を持った方が集まっているのでしょう。
2007年公開『秒速5センチメートル』より
「アニメーションは記憶を描くメディア」
と語る新海監督。
風景写真を単に忠実に描くのではなく、
一回頭の中に入れたものを書くので少し特別な見え方をするし、
アニメーションだからこそ、記憶の中にある風景の
キレイな要素だけをうまく強調させることが出来、
あの美しい風景描写の表現が可能というわけです。
実写との置き換えは不可能と言ったのは、
もし、実写にしてしまったら
そこの部分がゴソっとなくなってしまうから。
新海作品の風景描写が美しく感じるのは、
「記憶」としての風景を描いているからなのです。
参照元:『古館がニュースで聞けなかった10大質問!!』
リアルな風景描写は 実は抽象化して描かれたもの!?
アニメーションは記憶を描くメディア