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映画『君の名は。』メガヒットの謎

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今年8月26日に公開され
3ヶ月経った今もその勢いは衰えず
興行収入は194億円を突破!(2016年11月28日現在)
『もののけ姫』を抜き、邦画興行収入歴代3位にランクインした
今年No.1ヒット映画『君の名は。』



いまや社会現象にまでなっている同作品について、
NHKの番組『クローズアップ現代+』が、
驚異的な大ヒットの理由について、
いくつかの仮説を立てながら分析を行いました。

仮説1 圧倒的なリアル



ちまたでよく言われるのが新海監督ならではの”リアルな風景”
劇中で描かれる街は本当に美しいですが、
風景の美しさなら過去の作品も同じ。
興行収入は多くても1億円を超える程度で、
人気も限定的だったことを考えると
映像の美しさはメガヒットの決め手とは言えません。


仮説2 ”あの巨匠”が育てた男

『君の名は。』がこれまでの新海監督作品と異なる点の1つが
キャラクターの動きを表現するスタッフとして、
スタジオジブリ出身の安藤雅司さんが作画監督として加わったこと。



安藤さんは宮崎監督に才能を認められ
『千と千尋の神隠し』でも作画監督を務めました。

『君の名は。』では、体が入れ替わった
瀧と三葉の恥じらいや、とまどいを生き生きと表現。
コミカルなしぐさが主人公の親しみやすさを増し、
映画の大きな魅力となったのは間違いないでしょう。


仮説3 観客をおいていくほどのスピード感

映画『君の名は。』全107分の中に費やされた
総カット数は  約1650 1カット 平均3.9秒

2時間程度の映画の場合、平均的なカット数は
およそ1000カット前後と言われているので、
『君の名は。』の1650カットは多いほうだと言えます。



ちなみに邦画興行収入ランキング上位にも入っている
ジブリ映画のカット数はこんな感じです↓

『崖の上のポニョ』:1,139
『もののけ姫』:1,676
『千と千尋の神隠し』:1,415


次に1カットあたりの平均カット秒数ですが、
アニメーション映画の平均がおよそ5秒。
対する『君の名は。』は3.9秒。
こちらは平均より短めとなっています。

カット数が多く、平均秒数が短いことによって
1つの描写が比較的短く、テンポよく映画が流れていくため、
観客はグイグイ引きつけられたのかもしれません。

映画のプロデューサーである川村元気さんも
そこはあえて狙ったそうで、

「現代的なスピードでどんどん観客をいわばちょっと置いていく。
 それによって観客はすごい集中力を持って観る。
 で、それが追いついた時に感情移入がストンとくるという
 結構細かい設計はしている」


と語っています。


仮説4 日本伝統のモチーフ



夢の中で出会う、男女が入れ替わるという設定は
平安時代にまでさかのぼる日本文学がモチーフ。
小野小町も夢で会った愛する人を歌に詠んでおり、
こうしたモチーフが時を越えて
今の日本人の琴線に触れたのかもしれません。


映画鑑賞者の年齢層の構成比とその変化

最後に、番組スタッフが注目したのは
映画鑑賞者の年齢層の構成比とその変化です。

『君の名は。』公開から1週間後の時点では、
観客の年齢層の割合は10代・20代が7割近くを占めていたものの、
公開14週目ではなんと30代以上の中高年が
半数近くを占めているという。

若者向けに作られた映画が何故、中高年の心を捉えたのか?

その謎を解明するべく、
番組では男女総勢53人の中高年を対象に試写会を実施。
上映後には1人1人インタビューを行い、
何に心を動かされたのかを調査した。

その結果、53人中36人が映画によって
自分が過去に経験した出会いや別れを思い出したという。

では何故、過去の出会いや別れを思い出したのか?
そのきっかけとなったものが映画の中に隠れています。

映画では遠く離れた主人公の2人を結ぶものとして
組紐が象徴的に描かれています。
運命の赤い糸を連想させる組紐。
それがかけがえのない出会いの記憶を呼び覚まし、
中高年の心を揺さぶったようです。



参照元:『クローズアップ現代+』

NHK『クローズアップ現代+』が分析した以外に
メガヒット要素を挙げるならば、
RADWIMPSの音楽も大きいでしょう。

新海監督も映画のそれぞれの最も盛り上がる場面に
RADWIMPSの声入りの曲を持ってきたと語っていますし、
宮崎アニメでの久石譲の音楽といったように
映像にマッチする音楽というのは
ヒット要素として欠かせないと思います。

また、随所にマニア心をくすぐる
細かな仕掛けが散りばめられていたりと、
繰り返し観たくなるような仕掛けを作ったのも
リピーター増加につながったのではないでしょうか。

新海監督がこれまでの経験で積み重ねたものが、
この作品で一気に花開き、これまでのファンに加えて
中高年など予想しなかった年齢層なども巻き込み、
広く深く支持されたことによって
ここまでのメガヒットにつながったのでしょう。

新海監督の次回作が何年後の公開になるのかわかりませんが、
今回でハードルがあがりすぎちゃったから、大変でしょうね。


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