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横綱 曙が変えた少年の未来

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第64代横綱 曙太郎。
ハワイから単身日本にやってきて、その豪快な取り口で
外国人初の横綱となった名力士ですが、
現役当時から曙ほど若い衆の面倒を見たり、
気遣いをする男は珍しいと言われていました。



そんな曙が来日して4年目の1991年春の出来事。

小結に昇進した3月場所で先代 貴乃花の持つ
デビュー以来の連続勝ち越し記録を更新した曙が
そのお祝いも兼ねて場所後に温泉に出かけた時の事。

宿泊先の温泉旅館に到着すると、玄関先で坊主頭の少年が
落ち込んだ様子で涙ぐんでいました。

面倒見の良い曙は心配になって

「どうしたの?」

と声をかけたところ、その少年は高校野球の三年生で、

「僕がスクイズに失敗したせいで
 チームが負けてしまったんです」


と答えたそうです。

”負けて覚える相撲かな”という言葉があるんだ。
 僕だって負けた日にはがっかりするけど、
 勝ちっぱなしの人生なんて存在しないよ


と言って曙が励ましたところ、
その野球少年は「ありがとうございます!元気が出ました」
とお礼を言って帰っていきました。


―それから数年後。
横綱となった曙は場所中にある人物とバッタリ会います。

曙が「初めまして」と挨拶すると、その人物は

「実は僕、横綱とは初めてではありません。
 何年か前、温泉旅館の玄関先で落ち込んだ野球少年を
 励ましませんでしたか?
 それ、僕だったんです。おかげさまで元気が出て、
 こうしてプロ野球選手になることが出来ました。
 あの時、横綱から励まされた言葉、今でも忘れません。
 本当にありがとうございました」


とお礼を言ってきたそうです。


その人物とは・・・


プロ野球で当時のシーズン最多安打を樹立し、
球界の若きスターとなっていたあの
イチロー選手 なのです。

そう。あの日、曙が声をかけた野球少年は
当時、愛工大名電高校3年生の鈴木一朗くんだったのです。

イチロー選手は

「何かをしようとする時、失敗を恐れないでやってください。
 失敗して負けてしまったら、
 理由を考えて反省してください。
 必ず将来の役に立つと思います」


まるで曙の教えを伺わせるような名言も残しています。

アメリカから日本に渡り、相撲というスポーツで頂点に立った曙が、
あの日、もしイチローに声をかけていなかったら、
イチローが日本からアメリカに渡り、
野球というスポーツで頂点に立つことも無かったのかもしれません。



画像:http://everyday-e-news.com/people/ichiromlb/

参照元:『やりすぎ都市伝説SP 2015夏』

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