リアル・プリズン・ブレイク！ 鉄壁要塞からの脱獄① からの続き。
第2話 -鍵-
地下室に通ずるドアには、当然 鍵がかかっている。
そして、その鍵は看守のベルトに常に付いている。
盗むことなど到底不可能。
だが、注意深く観察していると、
看守がいつも地下室の鍵を
鍵束の一番外側にかけていることに気づく。
ポンテスは食堂でコーヒーを飲みながら
鍵を盗む方法を考えた。
そして、カップについた自分の歯型を見てひらめく。
そうだ！コレを使おう！
そう、発砲スチロールで鍵の型をとろうというのだ。
問題は看守に気づかれずにどう型をとるか。
ポンテスは2人の受刑者を買収し、
看守が地下室を出たところで注意をそらすよう頼んだ。
少しでも不審な動きを見せれば、看守に即射殺される。
まさに命懸けだった。
やっと鍵をつかんだ瞬間は、
最高の気分だった！
こうして地下室の鍵の型をとることに成功したポンテスは、
金属加工工場で働く受刑者に材料を盗ませ、
数日で合い鍵を作らせた。
そして、作った合い鍵で地下室への扉の鍵が開くのかを確かめると、
ポンテスは次に、地下室からトンネルを掘るための仲間を探した。
食事時間に1800人全ての受刑者と話をし、
その中から信頼できる人物を5人、仲間に引き入れた。
早速、地下室から堀の外へと通じるトンネルを
掘り進める作業が開始したポンテスたち。
道具は工場から盗んだペンチやハンマーを使用。
トンネルを掘れるのは昼食から
点呼のサイレンが鳴るまでのおよそ3時間。
この時間に自由に動ける2人が掘る。
鍵の開け閉めはポンテスが行った。
2人が手作業で掘れる距離は3時間で数十cm。
塀の向こう側には2～3ヵ月で達する計算になる。
だが、掘り進めるうちに
いくつもの壁が立ちはだかる。
刑務所のすぐそばにはオハイオ川が流れているため、
土質が粗く崩れやすかったのだ。
下手をすると、掘り進めた穴が崩れて
土砂崩れに遭う可能性もある。
ポンテスたちはトンネルが崩れないよう慎重に掘りすすめ
1ヶ月かけて、なんとか計画の半分にあたる
10mほど掘ることが出来た。
そして、思いがけないトラブルも。
いつもなら、15時45分になるはずの点呼のサイレンが
何故か2時間も早く鳴ったのだ。
所内で傷害事件が発生したのだった。
刑務所でもめ事があった場合、
所内全ての受刑者の点呼を行うをいう規則がある。
トンネルが見つかったわけではなかったが、
点呼に2人がいなければトンネルの存在が発覚する。
トンネルを掘り進める2人に
一刻も早くこの事態を知らせなくては！
ポンテスは「仕事場に忘れ物をした」と
看守に話して地下室へと向かい、
2人に点呼があるので早急に戻るよう告げた。
顔についた泥も落とさずに慌てて外に出る2人。
看守が2人の顔を見つめる中、点呼場所へと向かう。
顔についた泥を見て、看守が不審に思っているかもしれない・・・
緊張で体がこわばらせながら看守の前を通り過ぎる。
その時、看守が携帯している無線に向かって言葉を発した。
「現在、最後の受刑者3名がそちらに向かっています」
よしっ！気づかれていない！
なんとかピンチを乗りきったポンテスたち。
そしてトンネルはついに、堀の外の倉庫に到達！
いよいよ明日、脱獄することを決めた。
もしも看守に見つかったら射殺される可能性もある
その夜、ポンテスは震えが止まらなかったという。
第3話へと続く。
参照元：『実録世界のミステリー』
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