幻の徳川家16代将軍

徳川最後の将軍といえば15代徳川慶喜ですが、
実は16代将軍になるはずだったのになれなかったという事で、
周りの人から「16代様」と呼ばれて人生を過ごした人物がいたのです。

その人物とは 徳川家達(とくがわいえさと)。

出典：Wikipedia

下の家系図を見ると14代将軍家茂に非常に近いのは家達ですが、
実際に15代将軍になったのは家達より遠い位置にいる慶喜です。

本来ならばより近い関係にある者が
次の将軍となるはずなのですが、
何故、家達は15代将軍になれなかったのでしょうか？

それはズバリ ”年齢”です。

家茂が亡くなった時、家達はまだ3歳でした。
年齢的に若すぎるため、まずは慶喜に15代将軍をさせておいて
家達が大人になった時に将軍の座を譲る予定でしたが、
実際はそうはなりませんでした。

それは皆さんご存知のとおり、
大政奉還が起こり幕府が明治政府に政権を明け渡したからです。

出典：「大政奉還図」邨田丹陵筆

徳川慶喜は大政奉還をした最後の将軍という事で
歴史に名を残しましたが、家達は将軍になるはずだった手前でなれず、
さらには歴史からも消えています。

まさに悲劇の人物である徳川家達ですが、
16代将軍になれなかったという悲劇は
家達にとって、まだ始まりに過ぎなかったのです・・・。

徳川家は明治以降も家が取りつぶされることもなく
一貴族として存続します。

家達は歴史に名を残そうと力を蓄えて政治家となり、
そして30代の時に大きなチャンスがやってきます。

それが 初代東京市長。

今でいう東京都知事にあたるポジションです。
もし東京市長になれば、江戸を治めていた徳川が
再び江戸(東京)を治めることになり、
歴史に名を残せると家達は奮闘し内定直前までいきます。

しかし、その当時の徳川家のお目付役だった勝海舟に反対され

「徳川がもう一度世に出るならば、
　江戸だけで満足せず国を背負って欲しい」

と強引に押し切られて、家達は泣く泣く辞退することに。

出典：Wikipedia

こうして歴史に名を残すチャンスを失った家達ですが、
時は流れ50代になった時に再びチャンスが巡ってきます。

そのチャンスとは 総理大臣。

時の山本権兵衛内閣がスキャンダルで潰れてしまい、
次の候補者を探していた際に、家柄・人柄共に良いという事で
陛下からご指名があったのが家達なのです。

これこそ勝海舟の言ったとおり国家を背負うチャンス！
と俄然ヤル気を見せる家達ですが、
またもや反対にあってしまいます。

お目付け役だった勝海舟はすでに亡くなっていましたが
今度は徳川一族から反対にあってしまいます。

この当時の徳川一族は、

「徳川がもう一度政治のトップに立ち、
　もし失敗しようものなら徳川家はもう立場がない」

と非常にネガティブになっていたのです。

何度も歴史に名を残すチャンスが到来しながらも、
そのチャンスを奪われ続けてきた家達ですが、
人生の終わり際に最後のチャンスが訪れます。

それは オリンピック。

東京でのオリンピック開催が決定し、
それを成功させるための東京オリンピック組織委員会が発足。
家達はその委員長に選ばれます。

アジア初のオリンピックであり、これを成功させれば
その立役者という事で今度こそ歴史に名を残せる！
・・・はずだったのですが、これも頓挫してしまいます。

なんと、オリンピックが中止となってしまったのです。

「東京オリンピックは中止になってないじゃん」

という方もいらっしゃると思いますが、
皆さんが知っている東京オリンピックというのは
1964年のオリンピックであり、今回の話で出てくる東京オリンピックは
1940年に開催されるはずだった幻の東京オリンピックなのです。

では何故、このオリンピックは中止となってしまったのでしょうか？

今回は誰の反対でもありません。戦争です。

日本と中国との日中戦争が始まり、
そこから日本は第2次世界大戦に巻き込まれていきます。

そしてあろうことがオリンピックが開催される予定だった1940年に
家達は病でこの世を去ります。

将軍になれず、市長になれず、総理になれず、
オリンピックも開催出来なかった家達の無念。

それをさらに追い打ちをかけるが如く、家達の死後、
徳川家は急速に力を失い、家達が住んでいた広大な徳川家の敷地が
国によって買収されてしまいます。

その奪われた広大な敷地というのが今の千駄ヶ谷にあたる土地です。

千駄ヶ谷では今、2020年のオリンピックに向け、
新国立競技場が建設されようとしています。

全ての夢を奪われた家達が持っていた因縁の場所で
次のオリンピックのメイン会場が建設されているというわけです。

果たして2020年の東京オリンピックは
無事に開催されるのでしょうか？

それとも、家達の怨念がそれを阻むのか。

信じるか信じないかはあなた次第です！

参照元：『ウソかホントかわからないやりすぎ都市伝説スペシャル2014』